日本の労働環境をぶっ壊した派遣法

日本を衰退させた大きな要因の1つに派遣があります。

1985年の派遣法成立まで日本では派遣など認められていませんでした。

働くなら正社員が当たり前だったのです。

それが今や正社員になれないのが当たり前の社会になっています。

派遣とは?

派遣とは就業先(派遣先)と雇用契約を結ばず、派遣会社と雇用契約を結ぶ働き方です。

給料は派遣会社から支払われます。

なぜわざわざ派遣会社を間に入れるかというと派遣先の会社は労働者を正社員として直接雇用したくないためです。

正社員は社会保険や将来の賃金アップなどコストが高いためです。

たとえ、会社の仕事が少なくなっても派遣労働者なら派遣契約を延長しなければサヨナラ(契約終了)でき、もうお金はかかりません。

しかし、法律で守られている正社員は派遣労働者のように簡単にサヨナラ(解雇)できず、給料を払い続けなければならないのです。

さらに正社員は基本的に無期限(定年まで)の雇用契約ですから、40代や50代になっても会社の役に立つ人材になるように育てる必要があります。

派遣労働者であれば目先の仕事だけ教えて労働者の将来など考える必要はないわけです。

派遣と正社員という身分制度

1985年の派遣法成立時は派遣の対象は専門的な13業務に絞られていました。

そのため影響がある労働者は限られていました。

しかし、1999年の派遣法改正(改悪の間違いではありません)で対象業務が原則自由化されてしまいました。

これによってかつて一億総中流と言われた日本社会に派遣と正社員という事実上の身分制度が誕生しました。

正社員

正社員の主な仕事は派遣の「管理」することになりました。

コストの高い正社員が自分の手を動かすことは悪であり、コストの安い派遣にやらせるのが正とされました。

技術能力より管理能力というわけです。

ただし、派遣社員は「同じ会社の部下」ではありませんので、将来を見越した教育等を考える必要はなく、今や死語となった飲みニケーションなどももちろん不要です。

人間を管理するというよりはロボットを管理するような感じですね。

しかし、会社にとって正社員はコストが高く、簡単に解雇できないことは変わっていません。

そのため、将来も会社の役に立ちスキルを持ち続けるように会社は正社員を育てます。

派遣社員

派遣社員とは以下のような労働力です。

  • 正社員よりコストが安い。
  • 会社に仕事がなくなれば契約更新をしないことで簡単にサヨナラできる。
  • 会社は派遣社員の将来について全く考慮する必要がない。

このようにまったく違う「身分」である正社員と派遣社員が同じ職場で働くようになりました。

派遣社員が増え始めた頃は「派遣は会社に差別されている」などの勘違いも多くありました。

もちろん、派遣社員は就業先の正社員ではないのですから扱いが違うのは当たり前で差別でも何でもありません。

派遣の年齢が上がると・・・

派遣が増え始めたのは1999年の派遣法改正です。

その頃20代だった人ももう40代です。

派遣のスキルとは若さのこと

派遣先企業が派遣社員に要求することはなんでしょうか。

それはズバリ「若さ」です。

派遣で最も要求されるスキルとは「若さ」です。

派遣社員は派遣先の正社員の指示で仕事をします。

派遣法でそう決まっているからです。

  • 正社員より若くないと指示しづらい
  • 言われたことだけをやり馬力があるのは若い人

そんな理由で条件のいい派遣先には若い派遣が優先されます。

年齢が上がるに従い仕事の条件が悪くなる、または仕事ができない期間が増えるということです。

お金がない

派遣先の会社が派遣を使う理由は正社員よりコストが安いからです。

さらに派遣労働者と派遣先の中間の派遣会社がマージンを取ります。

そんな派遣労働者の給料が正社員より高いわけはありません。

さらに正社員のような昇給なんてありません。

もし、派遣労働者が昇給を要求したら?

答えは簡単で派遣契約を更新せず他の若い派遣労働者と契約する、です。

これでは年齢が上がるとお金に余裕が出るどころか、若さというスキルがなくなる分だけ貧乏になっていきます。

スキルがない

前述の通り、就業先の会社は派遣社員に将来を見越した教育をすることはありません。

すぐ目の前の仕事を片付ける方法を教えるだけです。

そのため、派遣社員には正社員のような年相応のスキルはありません。

結婚率が低い

派遣労働者は正社員に比べて結婚率が低いです。

ここまで読んでくれた人なら理由は説明不要でしょう。

どう考えても正社員と結婚率が同等になるわけがありません。

そしてこの結婚率の低さは少子化、人口減につながります。

モノを買ってくれる人がいなくなってきた

ではコストの安い派遣を使うコストの高い正社員なら豊かになれるのでしょうか。

しかし、そもそもモノやサービスを買ってくれる人がいなければその正社員も成り立ちません。

派遣労働者の増加で日本全体の購買力が低下し、家や車を代表する高額なモノから順番に売れなくなって来ています。

そして派遣が原因の結婚率の低下で家庭形成に伴う多額の出費が減り、少子化の加速で将来モノを買ってくれる人がどんどんいなくなります。

人口が半分になれば会社の売上も半分になって当然です。

派遣法は日本の労働環境をぶっ壊してくれたようです。

派遣を使っている会社が社会貢献活動とか

最後に。

よく企業の社会貢献活動なんて聞きます。

でも派遣を使っている企業が社会貢献活動なんて聞くと大変な違和感を感じます。

派遣とは前述のとおりのものです。

多くの人が正社員になれずに衰退中の日本ではできるだけ正社員を増やすことが会社ができる社会貢献です。

社会に貢献したいならまずは派遣を使うのを辞めるのが先ではないでしょうか。

コメント

  1. より:

    企業が派遣を使うのは、派遣は雇用規制に守られていないから。
    雇用規制の緩和をせずに派遣を使うなと言うのは、偽善系労組サヨクの責任逃れの絵空事。

  2. LESHAKKO より:

    記事の通り、派遣労働者ばかりの日本に明るい未来は無い。
    コスト高の正社員が何故必要なのか、今の経営層は人件費ばかり重視しすぎて事の本質を理解をしていない。
    正社員へのコストとの最たるものは教育。金をかけての外部委託、社内ではOJTなどで培われるスキルは
    派遣業務では絶対に身に着けることは不可能と認識すべきもの。
    派遣ばかり多い職場では一向にスキルレベルが上がらないのは無論のこと、仕事の合理化、効率化が遅々として進まず
    ますます停滞して行く職場環境はざらで、こうした雰囲気の会社は今後ますます増えてゆくことだろう。
    これらの根本的な原因の多くは社員教育の不足と愛社精神の欠如で有る事は言うまでもない。
    金をかけずに社員教育ができるか訳がなかろう。何も教えないで鉄砲が撃てる兵隊がいるのか?
    基本的な仕事以上の事は教えられない人間に将来的に会社で何ができるというのだ。
    専門スキルを必要とする職場ではそうした知識や技術は全て正社員独占であり、派遣は単なる奴隷。
    また低賃金の派遣労働者に高額な耐久消費財は購入できないし、取りも直さず結婚もできない、
    要は使い切りの立場をキチンと理解して生活するしかない訳で、そうした派遣労働者に愛社精神が育まれる筈がないだろう。
    封建制時代の滅私奉公を行う事を基本とする武家制度の身分社会に逆戻りしているんじゃ無いのか?
    対価なくして誰も奉公なんざしませんよ、頭のおかしい経営層の方々。
    若いころはスポーツカーで遊んだものだ、近頃の若者は一体何だ。。。完済できるか見通しのつかない派遣労働者で、
    ローンを組めると思っている馬鹿が名にしおう自動車会社のトップという点も我が国の病巣の深さを物語る。