派遣とは – 非正規で働く上での心得

派遣とは派遣会社に雇用され、派遣会社とは別の場所で働く労働契約です。

契約社員などと同じ非正規雇用であり正規雇用である正社員とは全く違う心得が必要です。

長く続ける雇用形態ではない

派遣のような非正規雇用は以下の理由から長く続ける雇用形態ではありません。

  • 有期雇用契約
  • 低収入
  • 年齢と共に派遣先が減る

有期雇用契約

正社員は雇用元の会社と無期限の雇用契約を結びます。

それに対し、派遣は派遣会社と3ヶ月や1ヶ月といった有期雇用契約を結びます。

基本的に期間が来たら雇用契約終了です。

契約更新されることもありますが、新型コロナやリーマンショックなど世の中が不景気になると多くの派遣契約が更新されなくなります。

低収入

正社員の生涯賃金は平均で2億5千万円前後と言われています。

それが派遣社員だと1億円強です。

その差は実に1億円以上です。

なぜそうなるかというと1つの理由は派遣会社が高額なマージンを取るためです。

マージン率は労働者派遣法によって公開が義務付けられており、派遣会社が公開してるマージン率を見ると概ね30%前後になっています。

例えば、派遣先会社が派遣料10万円を派遣会社に支払ったとすると派遣労働者に渡るのlは30%のマージンが引かれた7万円です(実際にはそこからさらに税金等が引かれます)。

もう1つの理由はそもそも正社員より安くする必要があるからです。

正社員より安く使え、切りたい時に切れるのが派遣だからです。

これで派遣が高収入になるわけがありません。

また、このような低収入では家族を養うことは難しいためか、非正規雇用の男性の未婚率は正社員男性に比べて圧倒的に高くなっています。

年齢と共に派遣先が減る

日本の企業は高齢者が嫌いなような年齢と共に働ける派遣先は減って行きます。

正社員は年をとっても簡単には解雇できませんが、もともと有期雇用の派遣の契約を契約書通りに更新しないことは簡単です。

派遣切りとは契約どおりのこと

新型コロナやリーマンショックなど世の中が不景気になるたびに「派遣切り」という言葉が聞かれます。

「派遣切り」はまるで派遣契約満了以前に契約を打ち切るような感じを受ける言葉ですが、実際は単純に派遣契約を更新しないだけの話です。

契約期間満了による派遣契約終了はまったく契約書どおりで派遣労働者はそのような短期雇用契約に同意したはずです。

それなのにまるで悪いことをしたかのように派遣先の企業を責める人がいますが全くお門違いです。

もし、責めるなら労働者派遣法で「就業機会を確保するよう務めなければならない」とされている派遣会社でしょう(ただし、条文は義務とまでは言ってない強くは責められませが)。

または、そもそも派遣法によってこんな労働環境にした政治でしょう。

派遣先の会社に所属しているわけではない

これはよく心得ておかないと大顰蹙を買うことになります。

派遣社員は派遣先の会社に所属しているわけではありません。

よく派遣先の上司の言い方が優しくない、なんて人がいますがそもそも派遣先に派遣社員の上司などいません。

派遣契約書に派遣に仕事の指示を出す担当者が明記されているだけです。

派遣先の正社員も派遣の同僚ではありません。

それなのに派遣先で「言い方が優しくない」などまるで自分が所属している会社で言うような不満を口にしていれば顰蹙を買うのは当然です。

飲み会のメリットはゼロ

多くの会社ではいわゆる「飲み会」があります。

会社が飲み会をやる理由は社内人脈をつくり、仕事で困った時にお互いに助け合えるようにするためです。

そうした飲み会に派遣も誘われることがあると思いますが、派遣が参加するメリットはゼロです。

前述のように派遣は派遣先企業に所属しているわけではなく、派遣先に人脈など作る意味はありません。

仕事内容も派遣に指示する担当者も派遣契約書で決められているのに困った時に他部署の人と助け合うなどありえない(契約上、やってはいけない)からです。

まあ、ゆきずりの人達(派遣契約が終わればバイバイする派遣先の人達)とお酒を飲むのが楽しいなら参加すればいいと思いますが、正社員のように参加したくないのに参加する必要もメリットもゼロです。

イヤなら契約更新しない

派遣契約を更新したくない派遣先というのはあります。

今の派遣契約が終わったら長期の旅行に行きたいと思うこともあります。

そんな派遣先、そんな時に限って派遣先から契約を更新してもらわないと困る、と言われることがります。

派遣先の意向などまったく気にする必要はありません。

長く働いてほしければ正社員として無期雇用契約を結べばいいだけの話ですので、もし正社員になりたいなら「だったら正社員にしてもらえますか」と聞くとよいでしょう。

おそらくそれで話は終わります。

派遣先は安く使えて切りたい時に切れる派遣が欲しいだけで、コストが高く切りたい時に切れない正社員として雇う気などないのですから。

逆に派遣先から契約延長はしないと言われて、派遣社員側からそれを覆すことができるでしょうか?

派遣先からだけ契約更新を要請でき、派遣労働者からはできないなんて不平等なことはありません。

正社員にするというニンジンに騙されない

派遣社員に対し、「派遣で頑張れば正社員にする」と口約束をする派遣先があります。

そうした口約束が守られることはまずありません。

そもそもなぜ正社員になる条件が普通に「入社試験に合格すること」でなく「派遣で頑張ること」なのでしょうか。

答えは簡単で「正社員にする気はないが派遣契約以上の仕事をさせ続けたい」からです。

前述のように派遣は契約期間満了すれば辞められる可能性がありますから長期の仕事はさせられませんし、契約以外の仕事も契約書のある担当者以外からの指示も基本的にできません。

そのため、正社員というニンジンを鼻先にぶら下げ、派遣契約以上のことを頑張らせようと言うわけです。

これに騙されると派遣の安い賃金と短期雇用という不安定な身分で全力疾走させられることになります。

もし、「派遣で頑張れば正社員にする」と言われたら「正社員のポジションがあるなら入社試験を受けて正社員として頑張ります。」と言えば話を終わりにできます。

正社員のポジションなど始めから無い、またはもっと若い人(新卒など)のためにキープされているからです。

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