保育園落ちた日本死ね、で実感する日本の衰退

2016年に「保育園落ちた日本死ね!!!」と題したブログが話題になりました。

匿名のブログ記事にもかかわらず、なんと国会でも取り上げられました。

そのせいもあってか2016年の流行語大賞にも選ばれました。

「日本死ね」などという反社会的なタイトルにもかかわらずです。

 

要旨

全文はオリジナルの「保育園落ちた日本死ね!!!」を読んでいただくとして、これを書いた人は以下のようなことを主張したいようです。

  • 子供を保育園に入れられないと社会で活躍できない。
  • 自分は税金を納めているのに子供を保育園に入れられないのはおかしい。
  • 保育園に入れないなら子供を産む人はいなくなるだろう。
  • 国はオリンピックやるより保育園を作れ。
  • 保育園に入れないなら会社を辞めなくてはならない。
  • 保育園を増やせないなら児童手当を20万円にしろ。
  • 子供にかかる費用はすべて無償にすべき。

一億総活躍社会への不満?

一億総活躍社会とは2015年発足の第3次安倍内閣が掲げた以下のような内容です。

  • 家庭・職場・地域で誰もが活躍できる社会を目指す
  • 少子高齢化に歯止めをかける。
  • 50年後も人口1億人を維持する。

最大の問題だった少子高齢化に対するプランとしては極めて真っ当な内容ではあります。

逆に言えば、50年後に人口1億人を切るペースで少子高齢化が進めば、日本という国が消えてなくなる可能性が高いわけで、たとえ安倍内閣でなくても最優先プランとなるのではないでしょうか。

「保育園落ちた日本死ね」の要旨はこの一億総活躍社会へのアンチテーゼになっています。

要は子供を保育園に入れられなければ活躍できない、誰も子供産まない(少子化に歯止めがかからない)、というわけです。

保育園は当然の権利ではない

この「保育園落ちた日本死ね」には数々の違和感がありますが、最大の違和感は保育園がまるで当然の権利のような前提になっていることです。

日本の保育園とは就労、介護、病気など、どうしても子供を預けなければならない事情がある人だけが利用できる制度です。

しかも地域によっては事情がある人すべては利用できません。

より切実な事情がある人が優先されるという「ルール」になっています。

「保育園落ちた日本死ね」の作者はその「ルール」に沿って保育園は利用できない、となっただけのことです。

仮に「保育園は権利である」と法改正されていれば国に怒るのは当然ですが、一億総活躍社会はまだそこまでやっていません。

国会で匿名ブログである「保育園落ちた日本死ね」をネタに安倍内閣を追求していた民進党もそこまでやるための具体的な対案を出すことはありませんでした。

もし、嘘の就労証明や祖父母が育児を手伝えるのに手伝えないなどと虚偽の申請をしている人がいれば公正にルールが適用されるようにしてくれと怒るのは当然ですが、今のところ日本人はそこまで腐ってはいないようです。

税金を上回る「就労での活躍」とは?

保育園にはおおよそ以下のような税金が使われていると言われています。

使われている税金(年間)
0歳児500万円
1歳児200万円
2歳児190万円
3歳児110万円
4歳児100万円
5歳児100万円

保育園の利用者負担額は利用者によって大幅に異なりますが、あくまで平均かつ、おおよそ、です。

保育園を利用する「事情」が介護や病気であれば、この金額は納税者としても納得できる範囲ではないでしょうか。

しかし、事情が「就労」となると話は別です。

極端な例が0歳児で年収500万以下の人の0歳児を「就労」事情で預かる合理性を説明するのは難しいのではないでしょうか。

税金の他に利用者負担もかかるわけですから。

年収100万位で3歳〜5歳児を預けるケースもどう説明したらいいのでしょう。

「保育園落ちた日本死ね」も「保育園を増やせないなら児童手当を20万円にしろ。」だけはあながち間違ってなさそうです。

就労事由の保育など辞めてしまい、その分の税金を児童手当にまわすのは合理的な解決方法のように思えます。

家庭での子育ては活躍ではないのか?

小さな子供が体調を崩すことは少なくありませんが、保育園は体調の悪い子供を預かってはくれません。

たとえ子供を保育園に入れても子供の体調不良で突発的に仕事を休むことは多くなります。

子供は家庭で育てるのが一番

保育園はそのような理念で運営されているはずです。

もう一度書きますが、

子供は家庭で育てるのが一番

もし、この理念には賛成できないが保育園は利用したい、というならそれは矛盾です。

一億総活躍社会の「活躍」は「家庭・職場・地域」となってますが、家庭での子育ては「活躍」ではないのでしょうか。

保育園に入れられなければ子供は産めない?

就労人口を増やすためにあえて非合理なことをする、というならわからなくもないですが、そんな非合理なことをやってない国に負けるのは確定です。

日本は衰退がさらに加速することになります。

それとも、保育園に入れられなければ子供は産めない、なんて時点でもう日本の未来は諦めたほうがいいのでしょうかね。

コメント

  1. 匿名 より:

    お前のいう事に従ってから日本は少子高齢化をスパートさせて世界一の老人国家になり果てたわけだけど?
    それを受け入れてんならまだしも問題だと思ってんのに
    なんでそれを肯定し続けてんの?ようは主婦や嫁は家にいろってしたいだけだろ
    みんなそれをしたい人の方が多いかもしれないが、一人じゃ嫁や子供を養うぐらいの金すらもらえないようになったから
    日本も変わっていかないといけないし、世界で成功してる少子化対策が保育施設に預けて働くって方針なんだから見習うってだけだろ
    30年間成長しないままの日本人が偉そうに教育を選べる段階にはない事だけ知っとけ

  2. LESHAKKO より:

    この記事では一番の根本となる要因を追求していない気がしますな。
    そもそも事の発端は女性就労者の増加が原因ではないのか。
    高度成長期を含む1980年代までのGoldenAgeや1990年代前半まではそうした問題とも無縁だった。
    女性の社会進出とは聞こえは良いが、中流層から底辺層にかけてはそんなご大層なものではなく、
    現状、逼迫した家庭生活となって来た事が原因で女性就労者増加となった事が本質だろう。

    GoldenAgeやバブル期までは中流層、下流層を問わず右肩上がりの賃金上昇カーブに乗って良い暮らしと認識できる生活が営めたが、
    バブル崩壊以降、ベースアップと言う言葉さえ口に上る事のない時代となり、ともかく人件費削減をベースとした経営方針を主軸とする
    会社が増加した結果、早期退職制度の浸透、部分的賃金カットやベースアップの抑制、派遣労働者の増加など賃金支給に対する悪要因か
    ら家庭が受け取る事ができる生活費は下降の一途を辿ってしまう。。
    しかも物価上昇の逓増率は毎年変わらないのに賃金のみ下がればどうなるか。
    結局、家庭の主婦もパートやアルバイトでやりくりしなければ家庭生活を営めないスタイルが普通となった訳だが、
    この様な世情を異常と捉えるべきではないのか。
    世の生活水準を満たす稼ぎを得られなくなった旦那やパートナーを尻目に男性と変わらない俸給を受ける女性さえ珍しくなくなった。。。
    パートナーを不要として自身で育児を行う女性が増えたのもこれが主たる要因の一つ。

    先進各国に比してもこれだけ恵まれた社会環境が整備された国で少子高齢化が進むのは極端な賃金抑制が原因。
    GoldenAgeと同じ家庭生活に戻すなら、バブル期以降削減しすぎた賃金やベースアップを元に戻す事が必要ではないのか。
    特に税制の不公平とも云うべき消費税免税に匹敵する措置など大企業ばかり優遇される割にはその大企業でさえ賃金上昇には否定的。
    派遣はたくさん使いたい、賃金は抑えたいでは庶民生活のキャッシュフローが太くなるはずもなく、度重なる賃金逓減により、
    今までGoldenAgeを支えてきた中流家庭層が一気に下層に落ちてきた所為でさらに国内の消費需要は落ち込み、
    国内で儲けを得られない大企業は海外で大儲けする図式が当たり前になった今の在り方を変える必要があると思いますがね。

  3. 少子高齢化対策に反対する産まない女性 より:

    経済のせいにする評論家いますけど、それはうそです。日本は、貧しくても不便でも出生率はもっと高かった。日本の少子高齢化は、権利を装った工作の結果です。社会を破壊する権利はくそくらえっていえないおかしな社会です。
    子供がほしくないという女性は、一生彼女をめざすか、結婚前にパートナ-につたえるべきで、伝えなければ、離婚は当然です。世界的傾向も嘘です。日本の場合、明確なベビーブームがありました。そこを大切にすることが重要だったのに、この時期、日本は国連から女性の社会進出で袋タタキにあいます。日本よりひどい国はいっぱいあるのに、日本だけが集中して勧告をだされています。欧米の女性とは体形がちがう、文化や慣習が違う、日本の女性が欧米と同条件で労働するのは、極めて無理があり不自然なことです。職場の男女区別で昇進で損をしていたのは、わずかな女性にすぎません。子育てなど家庭との両立にむしろ苦しんでいたのです。ところが、一般職が法律で廃止されました。保育所や、女性のための支援制度は、まったく未完成のまま、家庭崩壊、シングルマザ-増加、低賃金派遣労働と悪い連鎖が起こり、少子高齢化は加速しました。女性の権利を叫ぶ人たちの多くは、左よりでかつ移民受け入れ賛成派です。有名なフランスでの改善した背景は、福祉の充実による未婚出産の増加と、三子以上の女性への支援です。日本もやればいいのです。しかし、それを疎外しているのは、差別だと反対している子供を多数産まない女性です。

  4. LESHAKKO より:

    全てが経済の所為とは言えませんが、現状では比較的貧乏な家庭環境で子供を作るとそれを育てることが
    困難な局面に追い込まれてしまう事がほぼ確定してしまいます。
    一部山村の村社会で子供を大事育てる所が残っている可能性は有りますが、都市部で下層以下に位置する
    人達が子供を作って育てられるとは言い難い。
    下層民と云うのは貧困層とは少し違います。働いて普通に生活はしていますが、その代わり可分所得を
    ほとんど残せない層を指すのです。つまり、己が糊口を凌ぐので精一杯。

    少しでも残せるのであればそれは中流下層であり、不可分所得や税金を差し引いてもおおよそ満足の行
    く程度の可分所得を残せる人を中流層と呼びます。
    聖域なき構造改革より20年、非正規雇用の増加によって中流層を形成していた人々の大半が下層へと
    移動させられ、しかもその事態は加速し、今も非正規雇用の増加、取りも直さず下層人口が増加してい
    ます。  ”働けど働けど猶わが暮らし楽にならざり、ぢっと手を見る。”
    こんな石川啄木がリアルで生きた世界と同じ様な環境を生きる人々の世界が下層の人々。
    ですから子供の育児に必要なのは十分な可分所得であり、それ無しには子育てなど到底おぼつかない。

    これも全ては大きな賃金抑制を行った事が要因。国際競争力とグローバル化の美名の元に庶民の中では
    上昇気運であった良い意味でのキャッシュフローを断ち切り、安かろう悪かろうの生活で我慢しろとし
    たのは時の政府と、金持ちにしか興味が無く、口入稼業(パソナ)で今まさに一旗上げているプロフェ
    ッサー竹中で有る事は紛れもない事実ですね。
    100円ショップの拡大とユニクロや無印と云った格安商品ブランドが広がって行ったのは、そうした
    社会構造の変化に共振している事は明らかでしょう。

    2000年代半ば、経済を発展を遂げていた途上の中国のコンビニバイトの時給をご存知ですか?
    一部情報によると2000円をカウントしたそうです。
    翻って日本に買い物ついでに生活をしていた中国人曰く、”800円の時給バイトなんてあり得ない”
    発展途上国の方からこんな事を言われて恥ずかしくないのですかね。
    それに先進各国の可分所得統計がネットでもよく出回っていますが、計算の基本データの取得方法が間
    違っています。基本データの母集団があからさまに非正規雇用を外して統計しているのです。
    例えば、大和総研による2018年までの可分所得統計には男性の非正規分のカウントが全く入ってい
    ない。これは明らかに政府におもねり、先進各国と遜色がないと言わしめる為のデータ捏造でしかない。

    小泉元総理にしろ、その腰巾着にしろ、ハイソサエティや金持ち優遇のみに尽力し、中流層を瓦解させ
    た罪は真に大きい。
    戦後日本の底力は、戦時中、数々の戦(いくさ)を闘い抜いて生き残った人々のその社会的スキルや技
    術力、頑張れば必ず報われ、極端な差別をせず多くの人を豊かにし、かつ潤した賃金制度で中流層を形
    成して行ったのが高度成長と呼ばれる時代だったのですが、もっと稼ぎたい経営層はそれを経営を阻害
    する古い制度と云って無かったものにしたかったのです。

    無論、賃金制度もベースアップ一点張りでは高止まりする可能性が考えられますが、そのベースアップ
    も百年単位の規模で賃金を会社から貰い続けなければ制度的破綻がしようもない程度の割合でしかあり
    ません。ことさらに競争力が無くなるやら、賃金が高すぎるだの自分たちの懐具合が大事な経営層の妄
    言を信じるが故に、終身雇用制度の廃止、福利厚生や年金もさえも削減され、この事に賛同を始めた
    政府、マスコミ、経済論壇の馬鹿学者の責任も糾弾すべきですね。
    こうした労働条件や賃金制度の改悪は愛社精神を養って来た構造を根本から崩すもの。将来の安心無し
    に誰が会社に忠誠を誓うと云うのでしょうか。

    こうして、労働環境や賃金制度の改革と云う名の改革により、豊かなはずだった日本がどんどん貧しく
    なっています。それは庶民に限った事で、ハイソクラス以上の社会の人々、金持ち(成金ではない)の
    方々には関係が余りない。悪い意味で欧米化しているこの状況を止める術は経団連をぶっ潰す事。
    経団連の大なる罪は日本人元来の善良さにつけ込み、低い賃金でも高賃金の人間と同等の仕事をさせて
    いる事。欧米化と言っても、少なくとも高賃金者と同等の仕事と実績を示せばそれなりの報酬を得られ
    る欧米と違ってずっと、低賃金でこき使う事を良しとしている事が問題なのです。

    今、戦後に消えたと思われた戦前の階級社会が復活しようとしています。
    特に華族 に列せられた家庭を持つ財閥グループを中心に、江戸時代から続く金満家、名家の集まりで
    あり、それら血統との婚姻を重ねて来た結果、エスタブリッシュメントとしての厚い層を築き上げ、
    我ら庶民とは別世界の住人として降臨しつつあります。
    賛同したいと思いませんが、左翼連中が叫ぶ階級闘争が復活しそうな気運が醸成されつつあるのは何か
    の陰謀でしょうか。2.26事件が起きた状況と現在は酷似しています。
    彼らが決起したときの檄文を読めばよく分かります。

  5. 匿名 より:

    サザエさんの磯野家のような三世代同居が
    もはや日本の考古学の領域になろうかという現代は
    ドラえもんの野比家やクレしんの野原家のような
    共稼ぎではない世帯の方が珍しくなってきた時代であり。

    こんな状況で保育所なしで、どう子供を育てよと言うのか
    子供育てる暇もカネもないという話。

    グローバル化一辺倒の世の中で
    たとえば電化製品などは今や特に日本製が秀で出ている訳でもないので
    海外と渡り合うためには
    理不尽に高い日本人の人件費は確かに企業にとっては死活問題だし
    そこから翻って少子化は近未来の日本で
    外国人労働者の導入を否が応でも現実のものにせざるを得なくなり
    結局、日本にとって明るい未来などは望めそうにはないという結論に。

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